片目を失明しても障害年金がもらえない?知らないと損する制度の壁と対処法
「片目を失明したのに障害年金がもらえないなんて…」「見えづらさで仕事も日常も困っているのに、支援が受けられないのはなぜ?」「両目じゃないと認定されないって本当?」――そんな疑問や不満を感じていませんか?
実は、片目の失明(視力の完全喪失)は日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすにもかかわらず、障害年金の受給が認められないケースが非常に多いのが現実です。「制度の基準に合わない」という理由だけで支援が受けられず、悩み続ける人が少なくありません。
この記事では、
- なぜ片目の失明では障害年金が通りにくいのか
- 視覚障害の等級と判定基準のしくみ
- 片目でも生活に支障がある場合の対処法
- 実際のケースと受給の可能性
をわかりやすく解説し、あなたの「困っているのに支援がない」状況を打開するヒントをお届けします。
なぜ片目の失明では障害年金がもらえないのか?
まず前提として、障害年金では「視覚障害」が認定されるには、両眼の視力や視野に一定の障害があることが条件となっています。つまり、片目だけが失明状態であっても、もう片方の視力が一定以上ある場合は、原則として障害年金の対象外とされるのです。
視覚障害の障害等級基準(抜粋)
- 1級:両眼の視力がそれぞれ0.01以下、または視野が極度に狭い場合
- 2級:両眼の視力の合算が0.04以下
- 3級:片眼が失明し、もう一方の視力が0.1以下
つまり、片眼が完全に見えなくなっても、もう片眼が0.2や0.3以上の視力を保っている場合は、等級に該当しないことになります。これが「片目を失明しても障害年金がもらえない」と言われる大きな理由です。
制度の背景にある考え方
この基準は、あくまで“視覚全体としての機能”に基づいて設けられています。「生活や労働にどれだけ支障が出るか」よりも、視力や視野の数値が重視されるため、生活上の困難が強くても評価されにくいという課題があります。
それでも生活がつらい…片目失明でも取れる対策と補足支援
片目を失明しても、「障害年金が一切もらえない」わけではありません。以下のような工夫や別の制度を組み合わせることで、支援を受けられる可能性があります。
- 1. 視野障害を確認する
片目に加え、もう一方の目の視野が狭くなっていないかを検査する。視野狭窄や欠損があれば、3級に該当する可能性があります。 - 2. 両眼の視力が変化していないかを再検査
時間の経過とともに、残存眼の視力が低下している場合があります。0.1以下になっていれば、3級の可能性あり。 - 3. 労働や日常生活への支障を証拠化する
「深度感覚が狂って転倒しやすい」「片方から来る自転車が見えず事故の危険がある」など、日常の困難を記録し、医師に伝えましょう。 - 4. 就労困難がある場合、他の病状と併せて総合的に申請
精神的な影響(うつ状態や不安障害など)や頚椎損傷など、複合的な障害であれば、別の等級認定対象になる場合があります。 - 5. 福祉サービスや自治体の手当を活用
視覚障害者手帳が交付されれば、地方自治体による医療費助成や交通費助成、就労支援制度などが利用できることがあります。 - 6. 生活福祉資金や障害者雇用制度を検討
年金にこだわらず、生活費の確保や就労支援を受ける方法も並行して考えることが大切です。 - 7. 障害手当金(厚生年金の一時金)という選択肢
障害年金に該当しない軽度の障害でも、一定の条件を満たせば障害手当金(一時金)を受け取れる可能性があります。
やってはいけない:あきらめて何もしない
「どうせ片目だから…」と申請も相談もしないのはもったいない判断です。視野検査や追加病状の評価など、専門家の助言で状況が変わることもあるため、まずは相談を。
よくある疑問Q&A:片目の障害と障害年金
Q. 片目を失明したけど、見た目では分からないから不利ですか?
A. 外見では分かりづらくても、視力や視野の数値で評価されます。診断書に「生活上の支障」が具体的に記載されていれば、不利になるとは限りません。
Q. 片目の失明だけでは絶対にもらえないの?
A. 残った目の視力や視野次第では3級に該当する可能性があります。条件を満たしていなくても、他の障害との併合や一時金の対象になる場合もあります。
Q. 障害者手帳はもらえるの?
A. はい、等級は異なりますが、片目失明でも視覚障害者手帳が交付されることがあります。自治体の福祉制度も利用可能になります。
Q. 申請する意味あるの?どうせ通らないんじゃ…
A. 申請してみなければ分かりません。視野検査や付随障害の評価で認定された例もあるので、社労士や専門家に相談する価値は十分にあります。
まとめ:片目の失明も「生活の支障」がカギになる
障害年金は「数字」で評価される側面が強く、片目の失明だけでは支給されない場合が多いのが現実です。しかし、それであきらめるのは早計です。
視野障害や他の病状、就労や生活の困難さがあれば、年金だけでなく他の支援制度を活用できる可能性があります。大切なのは「何もできない」と思い込まず、専門家のアドバイスを受けながら制度にアプローチすることです。
「片目だからムリ」と決めつけず、今できる選択肢を一つひとつ検討していきましょう。