病歴・就労状況等申立書の正しい書き方とは?通りやすい記載例と7つのコツ
「病歴・就労状況等申立書って、どうやって書けばいいの?」「診断書は出したけど、この書類で落ちたらどうしよう…」「例文が見つからなくて不安」――そんな悩みをお持ちではないでしょうか?
障害年金の申請時に必要な「病歴・就労状況等申立書(以下、申立書)」は、生活や就労にどれだけ支障が出ているかを伝える“本人の声”を届ける非常に重要な書類です。実は、診断書だけではカバーしきれない情報を補う役割があり、内容によって審査の結果が大きく変わることもあります。
しかし一方で、「何を書けばいいのか分からない」「自分の言葉で書くのが難しい」「形式に自信がない」と感じる方も多く、曖昧な内容や抽象的な記述になってしまうこともしばしば。これでは、実際の困難さが伝わらず、審査に通らない原因にもなりかねません。
この記事では、
- 病歴・就労状況等申立書とは何か
- 記載時に押さえておきたい7つのポイント
- 通りやすい記載例(精神疾患の場合)
- よくあるミスとその対策
をわかりやすく解説します。書き方に不安のある方は、ぜひ参考にしてください。
病歴・就労状況等申立書とは?その役割と重要性
病歴・就労状況等申立書は、障害年金の審査において、申請者本人の生活実態や病状の経過を時系列で詳しく記載するための書類です。正式名称は少し堅苦しいですが、要するに「これまでどういう病状で、どう働いてきて、どんなふうに困っているか」を伝える自己申告書です。
診断書と申立書の役割の違い
診断書が「医師から見た情報」だとすれば、申立書は「本人の主観に基づく実生活の詳細」です。診断書が簡潔にまとめられている分、申立書では、生活の支障や就労困難の“背景”を具体的に伝える必要があります。
審査の際、こんなところが見られている
- 病気の発症時期や経過と、診断書の内容が一致しているか
- 就労の中断や変更の理由が合理的に説明されているか
- 日常生活の制限が、障害等級の基準と整合しているか
つまり、「どこがつらくて、どのように生活に支障が出ているのか」が具体的に伝わる内容でなければ、適切な評価につながりません。
書くときに押さえたい7つのポイントと具体的記載例
- 1. 時系列を明確に記載する
理由:病状の変化や就労の断続をわかりやすく伝えるため。
方法:年表形式で「何年何月に何があったか」を順を追って記述する。
例:2018年4月:職場で過労により体調を崩す → 同年5月:心療内科を初診 - 2. 就労状況の変化と理由を詳しく書く
理由:「なぜ働けなくなったのか」を説明することで説得力が増す。
方法:退職・休職・転職の背景にある症状や困難を具体的に記載。
例:通勤電車で過呼吸になるため出社困難となり、欠勤が続き退職。 - 3. 日常生活で困っていることを具体的に
理由:審査では「どれだけ生活が制限されているか」が重視されるため。
方法:食事・入浴・外出・人との関わりなどで困っている内容を書く。
例:入浴は週1回、食事も1日1回しかとれず、買い物も一人では難しい。 - 4. 客観的な表現を意識する
理由:感情よりも「事実」を伝えることで審査側に伝わりやすくなる。
方法:「つらい」「苦しい」ではなく、「○○ができない」と書く。
例:人混みに行くと動悸とめまいが起き、外出が月に1回以下。 - 5. 医療機関の受診歴を抜けなく記載
理由:「初診日」の証明や経過の整合性確認に不可欠な情報。
方法:病院名・診療科・通院期間をすべて書く。
例:2018年5月〜2019年3月 ○○心療内科(週1回の通院) - 6. 記載内容と診断書の整合性を確認する
理由:内容が矛盾すると「信ぴょう性が低い」と判断される可能性がある。
方法:診断書の生活状況欄と照らし合わせて調整する。
注意:特に「就労の可否」や「支援の有無」は要注意。 - 7. 相談できる人と一緒に仕上げる
理由:本人が気づいていない支障やズレを第三者が気づいてくれるため。
方法:家族・支援者・社労士と内容を共有し、添削してもらう。
効果:内容の精度が上がり、客観性も高まる。
記載例(うつ病の場合)
2019年6月、仕事のストレスにより不眠・食欲不振が続き、○○メンタルクリニックを初診。以後、就労が困難となり同年8月に退職。以後、日中も寝ていることが多く、家事も手につかず、買い物や通院には家族の付き添いが必要。2020年〜2023年は症状の波が続き、復職を試みたが1か月で再発。以後は自宅療養が続いており、日常生活全般に支援が必要な状態。
よくあるミスとその対策:失敗しないために
記載時によくあるミスと、その防ぎ方を紹介します。
- 抽象的すぎる表現:「つらい」「大変」といった感情表現だけでは不十分。→「○○ができない」など行動ベースで記載。
- 時系列の矛盾:病歴の流れが診断書や受診歴と食い違っている。→提出前に必ず照合チェックを。
- 記載漏れ:病院や職場の情報が抜けていると信頼性が下がる。→日記や履歴をもとに整理。
- 他人に相談せず一人で書いてしまう:第三者に読んでもらうことで客観的な視点が加わり、精度が高まる。
まとめ:申立書は“自分の声”を伝える最重要書類
病歴・就労状況等申立書は、単なる添付資料ではなく、診断書では伝えきれない“あなたの生活の現実”を伝えるための大切な書類です。
審査側はこの書類を通して「この方に障害年金が本当に必要か?」を判断します。だからこそ、曖昧にせず、できるだけ具体的・客観的に、そして丁寧に書くことが重要です。
もし一人で書くのが難しいと感じたら、社労士や支援機関に相談することも検討してください。あなたの想いがきちんと届くように、しっかり準備をしていきましょう。