こんにちは。HR BrEdge社会保険労務士法人代表、特定社会保険労務士の渡辺俊一(わたなべとしかず)です。

「入社時に年金手帳を提出してと言われたけど、そもそも持ってない」「20歳になったのに年金手帳が届かない」「転職先に提出する年金手帳をなくしてしまった」——こんなお悩みで検索された方、多いのではないでしょうか。

実は2022年4月以降、新たな年金手帳の発行は廃止されました。「持ってない」のはもはや当たり前の状態です。顧問先500社超の企業でも、新卒の方を中心に「年金手帳が手元にない」「もらった記憶がない」という相談は年々増えています。

この記事では、年金手帳を持っていない方がどうすれば困らずに手続きできるか、基礎年金番号通知書の再発行、マイナポータルでの即時確認(2024年10月〜)、企業の人事総務が押さえるべき実務まで、社労士視点で徹底解説します。

年金手帳は2022年4月に廃止|「持ってない」が当たり前の時代に

まず大前提として、年金手帳はもう発行されていません。2022年4月の日本年金機構の制度改正で、新規発行が終了しています。

年金手帳の歴史と2022年4月廃止・2024年マイナポータル対応までの流れ

廃止された背景:マイナンバー制度の普及とデジタル化

年金手帳が廃止された主な理由は3つです。①マイナンバー制度の普及でマイナンバーだけで社会保険手続きが可能になったこと、②行政のデジタル化推進で紙の手帳を配布する必要性が下がったこと、③コスト削減で毎年発行していた手帳の製作・郵送費を削減できること——この3点が重なり、役目を終えました。

2022年4月以前に交付された年金手帳は引き続き有効

ただし、2022年4月以前に受け取った年金手帳そのものは引き続き有効です。紛失・破損しても再発行はされませんが、記載内容(基礎年金番号)を他の書類で確認できれば問題なく手続きできます。旧世代の手帳をお持ちの方は、廃棄せずに保管しておけばOKです。

年金手帳がない(持ってない)人の3パターン

「年金手帳を持ってない」と一口に言っても、実は状況によって3つのパターンに分かれます。

パターン1:2022年4月以降に20歳を迎えた人(そもそも手帳が存在しない世代)

2022年4月以降に20歳を迎えた方、つまり2002年4月以降生まれの方は、そもそも年金手帳を受け取ったことがありません。代わりに「基礎年金番号通知書」が郵送されています。今の大学4年生・社会人1年目世代が該当します。

パターン2:年金手帳をなくしてしまった人

過去に受け取った年金手帳を紛失した、ボロボロになって捨ててしまった、という方。この場合は基礎年金番号通知書の再交付申請で対応します。年金手帳自体は再発行されませんが、基礎年金番号さえわかれば手続き上は何も困りません。

パターン3:20歳を迎えたのに基礎年金番号通知書が届かない人

20歳到達後、通常は2〜3週間で基礎年金番号通知書が郵送されます。これが届かないケースは、住所変更の未届郵便事故が考えられます。住民票の住所と現住所が違う学生の方に特に多い事例です。

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
顧問先の新卒採用担当者から「今年入ってきた新人がみんな年金手帳を持っていなくて困った」と相談されることが増えました。でもこれは正常な状態なんです。企業側が「年金手帳を出して」と求めること自体が時代遅れになっているので、書類リストも見直しが必要ですよ。

年金手帳の代わり|基礎年金番号通知書とは?

年金手帳の代わりに登場したのが基礎年金番号通知書です。「持っていない」方はまずこの通知書について理解しておきましょう。

年金手帳と基礎年金番号通知書の違い(形式・色・紛失時対応の比較)

記載内容とサイズ

基礎年金番号通知書はA5サイズの緑色の用紙1枚で、以下の内容が記載されています。

基礎年金番号(10桁)氏名生年月日性別発行日。旧年金手帳のような冊子形式ではなく、シンプルな1枚の用紙です。

通知書が届くタイミング

次のタイミングで届きます。①20歳になったとき(国民年金加入時に自動送付)②就職したとき(会社が厚生年金加入手続き後)③再交付申請をしたとき。一度受け取ったら保管が必要な書類ですが、旧手帳と違い紛失しても何度でも再交付可能です。

旧年金手帳との違い:3世代の色分け

旧年金手帳には交付時期で3色あります。茶色(昭和35年10月〜昭和49年10月)オレンジ色(昭和49年11月〜平成8年12月)青色(平成9年1月〜令和4年3月)。現役世代のシニアはオレンジ、中堅は青が多く、若手世代はそもそも通知書のみです。

基礎年金番号の確認方法5選【2024年10月〜マイナポータル対応】

年金手帳も通知書も手元にない場合、基礎年金番号は次の5つの方法で確認できます。

基礎年金番号の確認方法5選(マイナポータル・ねんきんネット・ねんきん定期便・会社・年金事務所)

方法1:マイナポータル(2024年10月〜対応)★最速

2024年10月9日から、マイナポータルで基礎年金番号が即時確認できるようになりました。マイナンバーカードでログインし、「年金」の項目から確認するだけ。24時間いつでも可能で、最も手早い方法です。

方法2:ねんきんネット

日本年金機構の個人ページ「ねんきんネット」でも確認できます。ただし事前にユーザID登録が必要で、登録時に基礎年金番号通知書の照会番号が必要なため、初めて利用する方はマイナポータル経由の方がシンプルです。

方法3:ねんきん定期便

毎年誕生月に自動送付される「ねんきん定期便」にも基礎年金番号が記載されています。直近のハガキ・封書を探してみてください。

方法4:会社の総務・人事

厚生年金に加入中の方は、会社が社員の基礎年金番号を把握しています。総務担当に確認すれば即日〜数日で教えてもらえます。

方法5:年金事務所に直接問い合わせ

最も確実なのが年金事務所の窓口訪問です。運転免許証などの本人確認書類を持参すれば即日対応してくれます。電話での照会は本人確認の観点から原則不可ですので、窓口または郵送の手続きが必要です。

基礎年金番号通知書の再発行手続き【急ぎ対応も可能】

基礎年金番号通知書そのものを紙で手元に置きたい場合は、再交付申請をします。

加入区分別 基礎年金番号通知書の再交付申請先(第1号〜第3号被保険者・年金受給者)

加入区分で申請先が変わる

申請先は国民年金・厚生年金の加入区分で異なります。第1号被保険者(自営業・学生)は市区町村の国民年金窓口、第2号被保険者(会社員)は勤務先経由または年金事務所、第3号被保険者(配偶者の扶養)は配偶者の勤務先管轄の年金事務所に提出します。

必要書類

基本的に「基礎年金番号通知書再交付申請書」+本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)の2点のみです。申請書は日本年金機構の公式サイトからダウンロードできます。手数料は無料です。

急ぎの場合は年金事務所窓口が最速

「明日の入社手続きで必要」など急ぎの場合は、年金事務所の窓口に直接持参するのが最速です。即日で番号照会してもらえ、通知書はおおむね1〜2週間で郵送されます。郵送申請の場合は2〜3週間が目安です。

シチュエーション別|年金手帳がないときの対応

状況によって取るべき対応が変わります。よくある4つのシチュエーションで整理します。

①転職・入社時に年金手帳を求められた場合

会社が必要としているのは年金手帳そのものではなく「基礎年金番号」です。番号がわかれば手帳は不要。マイナンバーを伝えるだけでも社会保険加入手続きは可能です(2023年6月以降)。詳しくは中途入社の社会保険料ガイドもご参照ください。

②20歳になったのに何も届かない(学生含む)

20歳到達後2〜3週間で通知書が届かない場合は、住所変更の届出漏れか郵便事故の可能性があります。市区町村の国民年金窓口または年金事務所に連絡してください。学生の方は「学生納付特例制度」で保険料納付を猶予できるため、同時に申請するのがおすすめです。

③退職して国民年金に切り替える場合

会社退職後は退職日翌日から14日以内に市区町村で国民年金第1号への切替手続きが必要です。年金手帳がなくても、基礎年金番号・マイナンバーがあれば問題ありません。

④再就職・社会保険加入時

新しい会社に基礎年金番号を伝えるだけでOK。マイナンバーだけでも手続きできます。入社時の提出書類で「年金手帳」と書かれていても、通知書または番号のメモで代用可能です。

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
新卒の方・転職者の方から「入社書類に年金手帳と書かれていて困っている」というご相談が本当に増えています。結論、会社に「持ってないので基礎年金番号またはマイナンバーで対応してください」と伝えれば大丈夫ですよ。企業側の書類テンプレートが古いだけなので、遠慮せず申し出てくださいね。

2023年6月以降はマイナンバーで社保手続き可能|年金手帳不要化の流れ

2023年6月1日から、社会保険の届出書類における年金手帳の役割はさらに減りました。

マイナンバー記載で基礎年金番号記入不要

厚生年金保険の資格取得届・資格喪失届などにマイナンバーを記載すれば基礎年金番号の記入は不要になりました。企業側も社員からマイナンバーだけもらえば手続きできる仕組みです。

マイナ保険証との一体化

2024年12月には従来の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードに健康保険証機能を統合したマイナ保険証への移行が進んでいます。年金分野でもデジタル化が加速しており、「紙の年金手帳を持ち歩く時代」は完全に終わりを迎えつつあります。

企業の人事・総務が押さえるべき採用時・入社時の実務対応

ここからは企業側の実務を社労士視点で解説します。年金手帳廃止に伴い、採用時の書類運用を見直すべきポイントは3つあります。

採用オンボーディング書類リストから「年金手帳」を削除

多くの企業の入社書類リストには今も「年金手帳(コピー可)」と書かれていますが、この文言は時代遅れです。「基礎年金番号通知書のコピー、または基礎年金番号もしくはマイナンバーの申告」と書き換えておきましょう。

預かっている旧年金手帳の返却検討

かつての実務慣習で、会社が社員の年金手帳を在職中ずっと預かっているケースがありました。現在は保管義務がないため、社員本人に返却するのが望ましい運用です。金庫の空きスペース確保にもなります。

入社手続きシートと雇用契約書のアップデート

入社時チェックリスト・雇用契約書・就業規則の付属書類などで「年金手帳」の表記が残っていないか確認を。弊社では顧問先の採用書類テンプレートを定期的に見直すお手伝いをしています。

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
入社手続きの書類テンプレートを見直すだけで、新卒・転職者との入社初日のトラブルが激減しますよ。私の顧問先でも「入社前にPDFで電子提出」に統一した企業が増えていて、人事業務の工数も大きく下がっています。社内の書類は年1回は棚卸しをおすすめします。

年金手帳 持ってないに関するよくある質問(FAQ)

Q. 年金手帳を持ってないと年金はもらえませんか?

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
A. いいえ、年金は受け取れます。年金の受給資格は保険料納付記録で決まり、手帳の有無は関係ありません。基礎年金番号さえわかっていれば、将来の年金請求時に何の問題もないので安心してください。

Q. 年金手帳を会社に提出できないときはどうすればいいですか?

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
A. 基礎年金番号通知書のコピー、またはマイナンバーだけでも会社は手続きできますよ。2023年6月以降、年金手帳そのものは必須書類ではなくなっていますので、遠慮せず会社に申し出てください。

Q. 20歳になったのに基礎年金番号通知書が届きません

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
A. 通常は20歳到達後2〜3週間で届きます。届かない場合は住民票の住所に送られているため、現住所と違っていないか確認を。学生で実家と離れている方は郵便物が止まっている可能性がありますので、市区町村窓口に連絡してくださいね。

Q. 年金手帳の再発行は急ぎでも対応してもらえますか?

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
A. 年金手帳そのものは再発行されませんが、基礎年金番号は年金事務所の窓口でその場で照会可能です。通知書の再交付申請をすると1〜2週間で郵送されます。とにかく急ぎなら運転免許証を持って年金事務所窓口へ直行してください。

Q. 基礎年金番号通知書もなくしたらどうなりますか?

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
A. 通知書は何度でも再交付可能で手数料も無料です。旧年金手帳と違って再発行のハードルが下がっているのは通知書のメリットですね。心配いりませんよ。

Q. 国民年金への切り替え時に年金手帳がないと困りますか?

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
特定社会保険労務士
渡辺 俊一
A. 困りません。マイナンバーまたは基礎年金番号がわかれば市区町村窓口で切替手続きは可能です。退職日翌日から14日以内の手続きが必要ですので、退職前に会社で基礎年金番号を聞いておくとスムーズですよ。

まとめ:年金手帳がなくても「基礎年金番号」とマイナンバーがあればOK

2022年4月の年金手帳廃止で、「持ってない」が当たり前の時代になりました。大切なのは基礎年金番号で、これさえわかっていれば手続きは全く困りません。2024年10月からはマイナポータルで即時確認できるようになり、さらに便利になっています。

HR BrEdge社会保険労務士法人では、採用時の書類テンプレート見直し・入社手続きシートのアップデート・就業規則整備まで、人事総務の実務をトータルでサポートしています。「入社書類の運用を最新化したい」「従業員からの年金手帳に関する質問に適切に対応したい」といったご相談は、お気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 特定社会保険労務士 渡辺俊一
渡辺 俊一
(わたなべ としかず)

HR BrEdge社会保険労務士法人 代表
特定社会保険労務士/第1種衛生管理者

1977年兵庫県神戸市生まれ。関西学院大学法学部法律学科卒業後、日本マクドナルド株式会社に入社。2005年社会保険労務士試験に合格し、2007年に渡辺社会保険労務士事務所を開設。2016年法人化し、2025年5月に「HR BrEdge社会保険労務士法人」へ社名変更。

顧問先500社超・実績970社以上を誇り、「会社の財産は人・人・人である」を信念に、従業員・お客様・社会の「三方良し」の経営支援を実践。給与計算・社会保険手続き・就業規則・助成金申請から、IPO・M&Aに向けた労務監査まで幅広く対応。

著書『頂点をめざす!~経営者のパートナーとして歩む社労士の物語~』はAmazon「社会保険労務士の資格・検定」部門で1位を獲得。

【所属】全国社会保険労務士連合会/大阪府社会保険労務士会/一般社団法人EO Osaka
【趣味】トライアスロン(アイアンマンレースに挑戦中)
【信条】人生は挑戦だ!まずやる!なんせやる!とことんやる!