こんにちは。HR BrEdge社会保険労務士法人代表、特定社会保険労務士の渡辺俊一(わたなべとしかず)です。
「401k(企業型確定拠出年金)の商品って、結局どれを選べばいいの?」「定期預金にしておけば安心だけど、本当にそれでいいのか不安」「東京海上日動やニッセイなど、運営管理機関ごとに商品が違ってよく分からない」——こうしたご相談を、私の顧問先(500社超)の経営者・人事担当者、そして加入者ご本人からもよく伺います。
結論からお伝えすると、401kの商品選びには「絶対の正解」はありません。年齢・リスク許容度・運用期間・他の資産状況によって最適解は変わります。ただし、「失敗しないための判断軸」と「年代別の配分の考え方」を押さえておけば、初心者でも自信を持って選べるようになります。
この記事では、401kの商品選びを「4つの判断軸」と「年代別配分の目安」に整理したうえで、東京海上日動・ニッセイ・野村など主要運営管理機関の傾向、配分指定書の書き方、企業(事業主)の投資教育義務まで、社労士の視点から徹底解説します。なお、特定の金融商品を断定的に推奨するものではなく、商品カテゴリーと選び方の判断軸を中立的に提示する記事になっています。
401kの商品選びで迷う3つの悩み
401kの商品選びでお悩みの方からは、ざっくり次の3つの悩みをよく伺います。
・「リスクのある投資信託を選んで、損したらどうしよう」
・「定期預金や元本確保型のままだが、長期的には本当にこれでいいのか」
・「東京海上日動・ニッセイ・野村など、運営管理機関ごとに商品が違ってよく分からない」
この3つは、まさに401k加入者の本質的な悩みです。順番にクリアにしていけば、20代でも50代でも、自分に合った商品配分に自信が持てるようになります。
401k(企業型確定拠出年金)の商品ラインナップ基本構造
商品選びに入る前に、まず401kの商品ラインナップがどう構成されているかを整理しましょう。「企業型確定拠出年金 商品一覧」を眺めるときの土台になります。
元本確保型と元本変動型(投資信託)の2大カテゴリー
401kの商品は、大きく2つに分類されます。
- 元本確保型:定期預金・保険商品。元本割れリスクは原則なし。リターンは年0.01〜1%程度と低い
- 元本変動型(投資信託):国内株式・外国株式・国内債券・外国債券・REIT・バランス型など。元本割れリスクはあるが、長期的には平均年3〜7%のリターンが期待できる
厚生労働省「確定拠出年金統計資料」によると、企業型DC加入者の商品選択割合は預貯金が約28%を占めており、安全志向が根強い一方、長期インフレを考えると元本確保型だけでは資産が目減りするリスクがあります。
商品ラインナップは事業主が選定する
意外と知られていないのですが、401kで選べる商品ラインナップは、加入企業(事業主)が運営管理機関と協議して決定しています。同じ「企業型確定拠出年金」でも、A社のラインナップとB社のラインナップは異なります。「自社のラインナップが少ない・コストが高い」と感じる場合は、人事担当者・労使協議会等で運営管理機関の見直しを提案することも可能です。
「指定運用方法」(デフォルト商品)の重要性
2018年5月のDC法改正で、すべての企業型DCに「指定運用方法」(デフォルト商品)の設定が努力義務化されました。これは、加入者が運用商品を指定しなかった場合に自動的に運用される商品のことで、多くの会社では元本確保型(定期預金)が指定されています。「会社が選んでくれているから大丈夫」と思っていると、超低金利下では実質的に資産が増えない状態が続きます。
401kで選べる商品タイプ5分類【リスク・リターン徹底比較】
401kで選べる主要な商品タイプを5分類し、リスク・リターンを比較します。

① 元本確保型(定期預金・保険)
元本割れの心配がほぼないタイプ。退職間近の方や投資経験が全くない方の「資産保全フェーズ」に向きます。一方、超低金利下では年利0.01〜0.1%程度しか付かず、長期的にはインフレで実質目減りするリスクがあります。
② 国内債券型インデックス
日本国債を中心とした国内債券に投資するタイプ。年利1〜2%程度の安定運用が期待でき、株式型よりリスクは低めです。「ある程度のリターンは欲しいが、株式は怖い」という安定志向の方に向きます。
③ 国内株式型(インデックス・アクティブ)
TOPIX(東証株価指数)や日経225に連動するインデックス型と、市場平均を上回るリターンを目指すアクティブ型があります。長期的には年3〜8%のリターンが期待できますが、年単位では▲30%といった下落も発生し得ます。30〜40代の中長期運用に向きます。
④ 外国株式型(先進国・新興国・全世界)
「MSCI コクサイ・インデックス」連動の先進国株式、「MSCI ACWI」連動の全世界株式、「S&P500」連動の米国株式などがあります。長期では年5〜10%のリターン実績がある一方、為替リスクと株価変動リスクの両方を負います。20代〜40代の積極運用フェーズに向きます。
⑤ バランス型・ターゲットイヤー型
株式・債券・REIT等を一つの商品でバランスよく組み合わせたタイプ。初心者で配分がよく分からない場合の有力候補です。「ターゲットイヤー型」は退職予定年に合わせて自動的にリスク資産の比率を下げていく仕組みで、放っておいても年代に応じた配分に調整されます。
401k商品の選び方【4つの判断軸】
「企業型確定拠出年金 商品ランキング」で検索しても、結局どう選べばいいか分からないという方のために、商品選びの4判断軸を整理します。

判断軸①:信託報酬(コスト)の低さで選ぶ|年0.2%以下が一つの目安
信託報酬とは、投資信託を保有している間ずっとかかる年間手数料です。長期運用では「年0.2%以下」を一つの目安にしてください。たとえば、信託報酬が年1.0%と年0.2%の商品では、運用30年で受取額に数百万円の差が出ます。インデックス型は0.1〜0.3%、アクティブ型は1.0〜2.0%が一般的です。
判断軸②:インデックス型 vs アクティブ型の違い
インデックス型は市場平均(TOPIX等)に連動することを目指す商品で、低コスト・分かりやすい・長期で安定が特徴。一方、アクティブ型は市場平均を上回るリターンを目指す商品で、高コスト・実力依存・市場平均に勝ち続けられる商品は少ないのが実情です。長期的にはインデックス型が無難な選択肢とされます。
判断軸③:純資産総額と運用実績
純資産総額(その投資信託の運用規模)が極端に小さい商品は、運用効率が悪く、繰上償還(投資信託の運用終了)のリスクもあります。純資産総額30億円以上、設定来順調に増加している商品を選ぶのが安全です。
判断軸④:分散投資の組み合わせ
1つの商品に集中するのではなく、「日本株 × 外国株 × 債券 × 元本確保型」のように複数カテゴリーに分散するのが基本です。バランス型1本でも分散効果は得られますが、自分でカスタマイズしたほうが手数料を抑えられる場合もあります。
確定拠出年金 年代別配分例【20代・30代・40代・50代】
年代別の配分例を整理する核心章です。検索でもよくお問い合わせをいただくテーマで、年代に応じた配分の考え方を整理します。

20代の配分例:株式中心の積極運用(株式90〜100%)
20代は退職まで30年以上の運用期間があるため、リスクを取って高リターンを狙う配分が基本です。例:外国株式70%・国内株式30%(株式100%)。短期的に▲30%の下落があっても、長期で回復する可能性が高いため、株式比率を最大化するのがセオリーです。
30代の配分例:株式重視+一部債券(株式70〜80%)
30代も基本は株式中心ですが、住宅購入や教育費の準備とのバランスから、債券・元本確保型を一部加えるのも選択肢です。例:外国株式50%・国内株式30%・国内債券15%・元本確保型5%。
40代の配分例:バランス重視(株式50〜60%)
40代は「攻めと守りのバランス」フェーズ。退職まで20年程度を見据えて、債券・元本確保型を増やしていきます。例:外国株式30%・国内株式20%・国内債券30%・外国債券10%・元本確保型10%。
50代以降の配分例:守りの運用にシフト(株式30%以下)
50代以降は退職が近づき、暴落時の回復時間が限られるため、守りの運用へ大幅にシフトします。例:株式30%・債券50%・元本確保型20%。受取り直前は元本確保型の比率を高め、確定したリターンを守ります。
渡辺 俊一
主要プラン別・401kラインナップの傾向|東京海上日動・ニッセイ・野村など
主要な運営管理機関の傾向と「ラインナップを見るときの観点」を中立的に整理する章です。特定プランの推奨ではなく、各社の商品設計の特徴と比較の観点をお示しします。

東京海上日動「なっとく401kプラン」の傾向
東京海上日動火災保険の確定拠出年金プラン。低コストのインデックス商品を中心に、バランス型・ターゲットイヤー型まで幅広いラインナップが特徴です。中堅・中小企業向けに導入しやすい設計で、教育コンテンツも充実しています。
日本生命(ニッセイ)の確定拠出年金プランの傾向
日本生命は「DCニッセイ外国株式インデックス」「DCニッセイ国内株式インデックス」など低コストのインデックス商品に強みがあります。グループのニッセイアセットマネジメントが運用する商品が中心で、信託報酬を抑えた長期運用向けの設計です。
野村證券・三井住友信託・SBIなどの主要運営管理機関
野村證券は機関投資家向けの実績を活かしたアクティブ型ラインナップ、三井住友信託銀行は信託機能を活かした幅広い投資対象、SBIは低コストのインデックス商品とWebでの操作性に強みがあります。同じ商品カテゴリでも運営管理機関によって信託報酬や運用実績に差があるため、自社のラインナップを丁寧に確認することが重要です。
「商品ランキング」を見るときの3つの注意点
ネットでよく見かける「企業型確定拠出年金 商品ランキング」を見るときは、次の3つに注意してください。
- 掲載元の利益相反:運営管理機関や運用会社が運営するサイトでは、自社商品が上位に掲載される傾向
- 過去の実績は将来を保証しない:直近のリターンが高くても、今後も続くとは限らない
- 自社のラインナップに含まれているか:ランキング上位でも、自社の401kで選べないことが多い
国内株式・外国株式 確定拠出年金 インデックスの選び方
国内株式・外国株式インデックスの選び方を整理する章です。
国内株式インデックスはTOPIX連動か日経225か
国内株式インデックスの主流はTOPIX連動と日経平均(日経225)連動の2種類です。TOPIXは東証プライム市場の全銘柄を時価総額加重平均で算出するため分散性が高く、長期運用に向くとされます。日経225は225銘柄に絞った株価平均で、値動きが大きく、市況の影響を受けやすい傾向があります。
外国株式は「MSCI コクサイ」「全世界株式」「S&P500」が主流
外国株式インデックスの主な選択肢は次の3つ。
- MSCI コクサイ・インデックス:日本を除く先進22か国の株式に分散。401kでは最も伝統的
- MSCI ACWI(オール・カントリー):全世界(先進国+新興国)に分散。「これ1本で世界中に投資」型
- S&P500:米国大型株500銘柄。米国経済への集中投資
分散性を重視するなら全世界株式、米国経済の成長性に賭けるならS&P500、という選び方が一般的です。
信託報酬0.2%以下を一つの目安に
外国株式インデックスは特に信託報酬が年0.1〜0.2%程度の低コスト商品が増えています。長期運用では信託報酬の差が雪だるま式に効いてくるため、必ず比較してください。
為替ヘッジあり/なしの判断
外国株式は為替リスクを伴います。「為替ヘッジあり」は為替変動の影響を抑えられますがヘッジコストがかかり、「為替ヘッジなし」は為替変動の影響をそのまま受けます。長期運用なら為替ヘッジなしが基本とされます(為替変動も長期で平均化される傾向)。
配分指定書の書き方|未提出のリスクとスイッチング手順
配分指定書の書き方と注意点を整理する章です。
配分指定書とは(事業主が提示する用紙)
配分指定書とは、毎月の掛金をどの商品にどんな割合で投資するかを指定する書類です。401k加入時に運営管理機関から提示され、Webで入力する場合もあります。「外国株式30%・国内株式20%・バランス型30%・元本確保型20%」のように、合計100%になるよう配分を決めます。
未提出だとデフォルトの「指定運用方法」(多くは元本確保型)になる
配分指定書を未提出のまま放置すると、会社の「指定運用方法」(多くは元本確保型)が自動的に適用されます。前述のとおり超低金利下では実質目減りリスクがあるため、加入時に必ず配分を指定するべきです。
配分変更(スイッチング)とリバランスの違い
運用開始後の見直し方法は2種類あります。
- 配分変更:将来の掛金の配分を変更する。例:「来月から株式比率を上げる」
- スイッチング:すでに保有している商品を別商品に乗り換える。例:「これまでの定期預金を売却して外国株式インデックスに替える」
- リバランス:価格変動で崩れた配分比率を元の目標比率に戻す。例:「株式が値上がりして比率が増えたので、債券を買い増しして比率を戻す」
年1回はポートフォリオの見直しを
運用開始後は年1回、誕生日や年末など決まったタイミングで配分を見直すと安心です。年代の変化や市場の変動に応じて、計画的にリバランスを行うことで、長期的に安定したリターンが期待できます。
企業(事業主)が押さえるべき投資教育の責任と実務
ここからは事業主・人事担当者向けの内容です。社労士事務所として企業視点で押さえるべき重要論点を整理します。
投資教育の継続的実施は事業主の努力義務(DC法22条)
確定拠出年金法第22条により、事業主は加入者に対して投資教育を継続的に実施する努力義務を負います。導入時の説明会だけでは不十分で、毎年の運用状況確認・年代別フォローアップ研修・運用商品見直しの機会提供などが求められます。
年代別・知識レベル別の研修プログラムの作り方
新入社員向けには「401kとは何か・投資の基本」を、30代向けには「住宅購入・教育費との両立」を、50代向けには「退職前のリスク資産の整理」をテーマに、年代に応じた研修を組み立てます。eラーニング・対面・オンライン会議など、加入者が参加しやすい形式を選ぶことが重要です。
運営管理機関の研修サービスを活用する
東京海上日動・ニッセイ・野村など主要運営管理機関は、投資教育の研修コンテンツや講師派遣サービスを提供しています。自社で教材を作る負担を抑えつつ、専門性の高い教育を実施できるので積極的に活用しましょう。
中退共との併用で退職給付の二段構え
確定拠出年金(DC)と中小企業退職金共済(中退共)を併用することで、退職給付の二段構えが構築できます。中退共で基本的な退職金を確実に保障し、DCで個人の運用選択による上乗せ給付を提供する形です。中退共の新規加入助成(掛金の1/2、最大12か月)も活用すれば、企業負担を抑えながら充実した退職給付制度を作れます。
渡辺 俊一
401k商品選びに関するよくある質問(FAQ)
Q. 401kで初心者が検討しやすい商品タイプは何ですか?
渡辺 俊一
Q. 確定拠出年金で30代によく見られる配分はどんな比率ですか?
渡辺 俊一
Q. 配分指定書を提出しないとどうなりますか?
渡辺 俊一
Q. 元本確保型だけで運用するのは問題ですか?
渡辺 俊一
Q. 東京海上日動の『なっとく401kプラン』はどんな特徴がありますか?
渡辺 俊一
まとめ|401kは「商品選び×継続教育×配分見直し」の三位一体
401kの商品選びには「絶対の正解」はありませんが、「4つの判断軸」(信託報酬・インデックス vs アクティブ・純資産総額・分散投資)と年代別配分の目安を押さえれば、初心者でも自信を持って選べます。さらに、配分指定書を確実に提出し、年1回はリバランスを実施する習慣をつくることが大切です。
事業主としては、投資教育の継続的実施(DC法22条)と、中退共との併用による退職給付の二段構えを意識することで、従業員満足度と人材定着力を高められます。
「自社の401k制度、本当に活用できているだろうか?」「投資教育の体制を整えたい」と感じられた経営者・人事担当者の方、HR BrEdge社会保険労務士法人では確定拠出年金導入支援・中退共併用設計・投資教育研修まで幅広く承っています。お気軽にご相談ください。
この記事の執筆者
![]() 渡辺 俊一 (わたなべ としかず) |
HR BrEdge社会保険労務士法人 代表 1977年兵庫県神戸市生まれ。関西学院大学法学部法律学科卒業後、日本マクドナルド株式会社に入社。2005年社会保険労務士試験に合格し、2007年に渡辺社会保険労務士事務所を開設。2016年法人化し、2025年5月に「HR BrEdge社会保険労務士法人」へ社名変更。 顧問先500社超・実績970社以上を誇り、「会社の財産は人・人・人である」を信念に、従業員・お客様・社会の「三方良し」の経営支援を実践。給与計算・社会保険手続き・就業規則・助成金申請から、IPO・M&Aに向けた労務監査まで幅広く対応。 著書『頂点をめざす!~経営者のパートナーとして歩む社労士の物語~』はAmazon「社会保険労務士の資格・検定」部門で1位を獲得。
【所属】全国社会保険労務士連合会/大阪府社会保険労務士会/一般社団法人EO Osaka |





