障害基礎年金と障害厚生年金、何が違う?あなたがもらえるのはどっちかチェック
障害年金制度の基本:2種類の年金とその役割
病気やケガによって生活や仕事が制限されるようになったとき、経済的な支えとなるのが障害年金制度です。しかし、いざ申請を考えたとき、「障害基礎年金と障害厚生年金、何が違うの?」という疑問に突き当たる方は少なくありません。この二つの違いを理解することは、ご自身がどの年金を受け取れるのかを知るための第一歩です。この記事では、障害年金の申請を検討されている方が、ご自身がどちらの対象になるのかを明確に理解できるよう、具体的なステップを交えて分かりやすく解説します。障害年金のことでお悩みなら、全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人がサポートいたしますので、ご安心ください。
障害年金は、その方が病気やケガの原因となった傷病で初めて医師の診療を受けた日(これを「初診日」といいます)に、どの公的年金制度に加入していたかによって、受け取れる種類が決まります。この「初診日」が、制度を理解する上で最も重要なキーワードとなります。
- 障害基礎年金:初診日に「国民年金」に加入していた方が対象です。自営業者、フリーランス、学生、無職の方などが該当します。また、20歳前に初診日がある場合や、国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の方(国内在住)なども対象となることがあります。
- 障害厚生年金:初診日に「厚生年金」に加入していた方が対象です。主に会社員や公務員の方が該当します。
つまり、2つの年金は全く別の制度ではなく、建物の1階部分が「障害基礎年金」、2階部分が「障害厚生年金」というイメージです。厚生年金に加入している方は、自動的に国民年金にも加入しているため、障害厚生年金の対象となる方は、障害の等級に応じて障害基礎年金もあわせて受け取ることができます。この基本的な構造を理解することが、最初のステップです。
[画像挿入提案: ここに障害年金の2階建て構造を説明するシンプルなイラストを挿入。推奨ALTテキスト:「障害基礎年金と障害厚生年金の2階建て構造のイメージ図」]
【4ステップで確認】障害基礎年金と障害厚生年金、あなたが対象なのはどっち?
それでは、ご自身がどちらの障害年金の対象となるのか、具体的なステップに沿って確認していきましょう。手続きは複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつ整理すれば、ご自身の状況が見えてきます。
ステップ1:すべての始まり「初診日」を特定する
まず最も重要なのが「初診日」の特定です。これは、障害の原因となった病気やケガで、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指します。同じ病気で複数の病院にかかった場合でも、一番最初の受診日が初診日です。この日を正確に証明できるかどうかが、申請の鍵を握ります。カルテなどの医療記録を元に、この日を確定させる作業から始めましょう。
[内部リンク: 障害年金の初診日とは?証明が難しい場合の対処法]ステップ2:初診日に加入していた年金制度を調べる
初診日が特定できたら、その日にどの年金制度に加入していたかを確認します。「ねんきん定期便」や、日本年金機構のウェブサイト「ねんきんネット」でご自身の加入記録を確認するのが最も確実です。
- 初診日に国民年金に加入していた → 障害基礎年金の対象
- 初診日に厚生年金に加入していた → 障害厚生年金の対象
この判定が、あなたがどちらの年金を申請するかの分かれ道となります。もし加入状況が不明な場合は、お近くの年金事務所で確認することができます。
ステップ3:保険料の納付要件を満たしているかチェックする
障害年金を受給するためには、一定期間、年金保険料を納めている必要があります。これを「保険料納付要件」と呼び、以下のいずれかを満たす必要があります。
- 初診日の前々月までの公的年金の加入期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること。
- 初診日において65歳未満であり、初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。(特例)
この要件は非常に厳格で、未納期間が多いと不支給の原因になります。ご自身の納付状況もしっかりと確認しましょう。
[外部リンク: 日本年金機構「障害年金ガイド」]ステップ4:障害等級と支給内容の違いを理解する
受け取れる年金の種類によって、対象となる障害の等級や支給内容が異なります。これも重要な違いです。
- 障害基礎年金:障害等級が1級または2級に該当する場合に支給されます。
- 障害厚生年金:障害等級が1級、2級、または3級に該当する場合に支給されます。さらに、3級よりも軽い障害が残った場合には、障害手当金(一時金)が支給されることがあります。
つまり、障害厚生年金の方が、より幅広い状態の方を保障する手厚い制度と言えます。ご自身の障害の状態がどの等級に該当するかは、医師が作成する診断書の内容に基づいて日本年金機構が認定します。
受給額はいくら?障害基礎年金と障害厚生年金の金額の違い
次に、多くの方が気になる受給額について見ていきましょう。こちらも2つの年金で計算方法が大きく異なります。
障害基礎年金の受給額
障害基礎年金は、障害等級に応じて金額が固定されています。これを定額制と呼びます。例えば、令和6年度の年金額は以下の通りです。
- 1級:1,020,000円(年額)
- 2級:816,000円(年額)
さらに、生計を同じくする18歳未満の子(障害のある子は20歳未満)がいる場合は、人数に応じて「子の加算」が行われ、支給額が増えます。
障害厚生年金の受給額
一方、障害厚生年金は、厚生年金に加入していた期間の給与(標準報酬月額)や加入期間に応じて金額が変動します。これを報酬比例制と呼びます。そのため、同じ等級でも人によって受給額が異なります。計算式は複雑ですが、基本的には「長く加入し、給与が高かった人ほど年金額も高くなる」と覚えておきましょう。また、障害等級1級または2級に該当する方には、障害基礎年金が上乗せして支給されます。さらに、条件を満たす配偶者がいる場合には「配偶者加給年金額」が加算されることもあります。
[画像挿入提案: ここに障害基礎年金(定額)と障害厚生年金(報酬比例)の金額イメージを比較するグラフを挿入。推奨ALTテキスト:「障害基礎年金と障害厚生年金の受給額の違いを表す比較グラフ」]
[内部リンク: 障害年金の受給額はいくら?計算方法と具体例を解説]
まとめ:正確な知識で、ご自身の権利を確認しましょう
今回は、「障害基礎年金と障害厚生年金、何が違う?」というテーマについて、確認ステップを交えて解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- 障害年金の種類は、「初診日」にどの年金制度に加入していたかで決まります。
- 障害基礎年金は国民年金加入者向け、障害厚生年金は厚生年金加入者向けです。
- 対象となる障害等級や、年金の計算方法(定額制か報酬比例制か)に大きな違いがあります。
- 申請には、初診日の証明や保険料納付要件の確認など、専門的な知識が必要です。
ご自身の状況をステップに沿って確認することで、どちらの年金の対象になるか見えてきたのではないでしょうか。しかし、実際の申請手続きは、書類の準備や医師との連携など、非常に複雑で時間もかかります。もし「自分の場合はどうなるのか判断が難しい」「一人で手続きを進めるのは不安だ」と感じたら、専門家である社会保険労務士に相談することが、受給への最も確実な近道です。私たちHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人では、LINEやZoomでのオンライン無料相談も実施しております。ぜひお気軽にご連絡ください。




