障害年金コラム

「ICDで見る“軽度知的障害”とは?」診断基準と障害年金の関係を解説

「軽度の知的障害って、どこからが該当するの?」「ICDで定義されているけど、実際どうやって判断されているの?」「診断があると障害年金も受け取れるの?」——そんな疑問をお持ちではないでしょうか。

知的障害の診断には、国際的な診断基準である「ICD(国際疾病分類)」が使われています。その中でも“軽度知的障害(ICD-10: F70)”と分類される状態は、最も頻度が高く、支援や福祉制度の対象となる重要なカテゴリです。

ただし、ICDで軽度知的障害と診断されたからといって、すぐに障害年金などの支援が受けられるわけではありません。実際の支援には「生活能力」や「社会適応度」など、より具体的な実態が重視されるのです。

この記事では、「軽度知的障害」とはICDでどう定義されているのか、どのような診断基準があるのか、そして障害年金との関係について、分かりやすく解説します。

ICDにおける軽度知的障害の定義と診断基準とは?

ICDとは何か?

ICD(International Classification of Diseases)は、WHO(世界保健機関)が策定する国際的な疾病分類です。日本の診療でも広く採用されており、ICD-10(第10版)およびICD-11が現在利用されています。
精神・行動の障害については「Fコード」として分類されており、知的障害(現行では「知的発達症」または「知的能力障害」と呼ばれることもあります)はF70〜F79に分類されます。

F70:軽度知的障害の定義(ICD-10)

ICD-10における軽度知的障害(F70)は、以下のように定義されています。

  • IQおおよそ50〜69の範囲
  • 言語、読み書き、計算、抽象的思考において発達の遅れがみられる
  • 成人後も支援や監督が必要なことが多いが、基本的な日常生活はある程度自立可能

つまり、軽度とはいえ「自立生活が困難」「学習や社会適応に制限がある」という特徴を持ちます。ただし、日常生活の一部は自立できるため、外見や言動からは障害に気づかれにくいのが特徴です。

ICD-11ではどう変わった?

ICD-11(最新バージョン)では、「知的能力障害(Intellectual Developmental Disorder)」という用語に変わり、以下の3つの観点から評価されます。

  1. 概念的能力(学習・言語・記憶など)
  2. 社会的能力(対人関係・責任・規範意識など)
  3. 実用的能力(日常生活・セルフケア・金銭管理など)

ICD-11ではIQ数値だけに依存せず、「社会生活にどの程度支援が必要か」という機能面の観点がより重視されています。これは障害年金の考え方とも一致しています。

知的障害の他分類(ICD-10)

  • F70:軽度(IQ 50〜69)
  • F71:中等度(IQ 35〜49)
  • F72:重度(IQ 20〜34)
  • F73:最重度(IQ 20未満)
  • F78:その他の知的障害
  • F79:特定不能な知的障害

ICDで軽度知的障害と診断されたら、障害年金はもらえる?

結論:ICDで診断されたからといって自動的に年金がもらえるわけではない

軽度知的障害(F70)と診断されても、年金の支給は「診断名」ではなく、「生活能力の制限」や「支援の必要性」によって決まります。
障害年金の審査では、以下の6つの生活能力の観点が評価されます。

  • 食事
  • 身の回りの清潔保持
  • 金銭管理
  • 通院・服薬管理
  • 対人関係
  • 社会生活への適応(外出・買い物など)

これらにおいて「常時援助が必要」であれば2級、「一部支援が必要」なら3級に相当する可能性があります(※ただし、知的障害は原則基礎年金の対象=3級はなし)。

軽度でも年金2級に認定されるケースはある

IQが60台後半など、いわゆる「軽度」の範囲であっても、「金銭管理ができない」「就労が継続できない」「一人で外出できない」などの状態であれば、年金2級に認定される可能性は十分あります。

実際のケース:Aさん(20歳・IQ62)

Aさんは高校の支援学級を卒業後、B型作業所に通所。日常生活では、食事や身支度はできるものの、金銭管理ができず、通院や買い物も常に家族の付き添いが必要。
IQは軽度の範囲だったが、生活能力の制限が大きかったため、障害基礎年金2級が認定された。

申請時のポイント

  1. 診断書は「精神の障害用様式」を使う(F70が含まれていればOK)
  2. 「病歴・就労状況等申立書」で生活上の困難を具体的に説明
  3. 就労支援機関や家族の援助内容も資料として提出

誤解されがちな注意点

  • 手帳の等級と年金の等級は一致しない
  • IQだけで判断されることはない
  • 見た目が“普通”でも、生活能力の制限があれば対象になる

Q&A|軽度知的障害・ICD分類・障害年金に関するよくある疑問

Q. ICDでF70と診断されました。年金はもらえますか?
A. 診断だけでは決まりません。生活状況や支援の必要性を含めた総合的判断になります。

Q. IQ65なら絶対にもらえない?
A. いいえ。IQが軽度であっても、生活能力の制限が強ければ2級に認定される可能性はあります。

Q. 診断がF70ですが、手帳が3級。年金は難しい?
A. 手帳の等級は参考情報にすぎません。生活の実態で判断されるため、手帳3級でも2級認定されることはあります。

Q. 精神科の医師でないとF70は診断できませんか?
A. 基本的には精神科または児童精神科の医師が診断します。内科などでは対応していないケースが多いです。

まとめ|ICDの診断と障害年金は“つながっているが別物”と考えよう

軽度知的障害は、ICD-10ではF70と分類され、IQ50〜69の範囲と定義されています。

ただし、障害年金の審査では、IQや診断名よりも、「どれだけ日常生活に困難があるか」「どのくらい支援が必要か」が重視されます。

つまり、ICDの診断は出発点にすぎず、実際の生活の実態こそが重要。正確な診断と、生活の様子を丁寧に記録することが、年金受給への第一歩となります。

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