「軽度の知的障害では年金はもらえない?」誤解を解き明かします
「IQは低めだけど、軽度だから障害年金はもらえないって言われた…」「手帳はあるのに年金は通らなかった」「見た目は普通だから対象外?と言われて落ち込んだ」——そんな経験をされた方はいませんか?
軽度の知的障害は、外見や一部の行動では気づかれにくく、「一見普通に見える」ために誤解されがちです。しかし実際には、日常生活や就労に大きな支障をきたしていることも多く、障害年金の支給対象となる可能性は十分にあります。
「軽度=対象外」と言われて諦めてしまうのは、大きな誤解からくる判断かもしれません。年金の審査では、IQの数値だけでなく、「生活の実態」や「支援の必要性」が重要視されます。
この記事では、「軽度の知的障害では障害年金はもらえない」という誤解を取り上げ、制度の仕組み、審査で見られるポイント、受給のための準備、よくある不支給事例とその対策について詳しく解説します。
なぜ「軽度の知的障害では年金がもらえない」と思われてしまうのか?
「軽度の知的障害=障害年金は無理」と誤解されやすい背景には、以下のような理由があります。
① IQ数値だけで判断されると思われがち
知的障害の判定にはIQが用いられますが、障害年金では「生活能力」の評価が重要です。IQが70〜75であっても、社会生活や日常生活に著しい支障があれば、年金の支給対象になる可能性は十分にあります。
② 外見や言動から「普通」に見える
軽度知的障害は外見や一部の行動が健常者とほぼ変わらないため、医師や支援者の理解が不十分な場合、「障害が軽い」と見なされやすいのが現実です。その結果、診断書や申立書にも実態が十分に反映されず、不支給になるケースがあります。
③ 就労歴や学校歴で誤解される
支援学校や支援学級を卒業していても、「卒業=自立できる」と誤認されることがあります。また、過去に就労経験がある場合、「働けていたなら障害ではない」と判断されることもありますが、それは不正確な認識です。
④ 記載内容が不十分な申請書類
診断書や申立書において、生活上の困難や支援の実態が十分に書かれていないと、軽度な印象になり不支給につながります。
たとえば「買い物に行ける」「仕事に行っている」などの表現だけでは、「支援なしでも問題ない」と誤解されてしまう恐れがあります。
等級と生活能力の関係性
障害基礎年金の等級認定は、以下の6つの生活能力の指標に基づいて判断されます。
- 食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理
- 通院・服薬管理
- 対人関係
- 社会生活への適応
これらのうち複数に援助が必要な場合、等級に該当する可能性があります。軽度の知的障害でも、支援がなければ日常生活が困難な状況であれば、障害年金の対象になり得るのです。
軽度知的障害でも年金を受け取るための8つの具体的な対策
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1. 日常生活の困難さを具体的に記録する
「料理ができない」「お金をすぐ使い切ってしまう」「ゴミの分別がわからない」など、具体的な困難を日常ごとにメモしておき、申立書に活用します。 -
2. 医師に実態をしっかり伝える
医師が「問題なし」と判断してしまうと診断書が軽くなり不利になります。家族や支援者が同席し、本人の苦手な部分を医師に正しく伝えることが重要です。 -
3. 家族や支援者の意見書を添える
実際に援助している家族や福祉職員から、「どんな支援が必要か」「1人ではできないことが何か」を文章にしてもらうと、客観的な裏付けになります。 -
4. 支援学校・支援機関の記録を活用する
支援学校の進路記録や、通所しているB型作業所の支援計画書などは、社会生活への制限を示す重要な資料です。申請書類に添付することで説得力が増します。 -
5. 就労歴があっても補足説明を加える
「働いていた」事実がある場合でも、「短期間で辞めた」「支援がないと続かなかった」などの補足情報を書き添えましょう。ただの履歴ではなく“支援が必要だったこと”を示すのがポイントです。 -
6. 申立書は“苦手なこと中心”で記載する
「できること」より「支援がないとできないこと」「誤解されやすい苦手な行動」を中心に記述すると、実態が伝わりやすくなります。 -
7. 障害者手帳の等級に惑わされない
手帳が3級などの軽度でも、生活実態によっては年金2級に認定されるケースがあります。手帳等級と障害年金の等級は別物と考えましょう。 -
8. 社会保険労務士に相談する
知的障害の申請は“書き方”が結果を左右します。実績のある社労士に依頼することで、通りやすい表現や書類作成のサポートを受けられます。
Q&A|軽度知的障害と障害年金に関する疑問
Q. IQ70だと障害年金は絶対に無理ですか?
A. いいえ、IQだけで判断されません。生活能力の制限や援助の必要性があれば、2級に認定される可能性もあります。
Q. 過去に就労していたら対象外になりますか?
A. 一時的に就労できていたとしても、継続が困難であったり支援が必要だった場合は年金の対象になり得ます。就労歴の“中身”をしっかり説明することが重要です。
Q. 医師が「軽度」と書いて診断書が弱くなってしまったら?
A. 主治医の変更や、再度の診断依頼も選択肢です。診察時に家族が同席して実態を伝えることで、内容が変わる場合もあります。
Q. 不支給になったらもうチャンスはない?
A. 再申請や審査請求が可能です。書類を見直し、生活状況や支援の実態を整理し直せば、支給につながることもあります。
まとめ|軽度でも「支援が必要」なら年金の対象になります
「軽度の知的障害だから年金はもらえない」と諦めてしまう前に、今一度、日常生活や就労の実態を丁寧に振り返ってみましょう。
IQの数値や見た目だけで判断されるわけではなく、「支援がないと生活が難しい」「社会生活でトラブルが多い」といった状況があれば、年金受給の対象となる可能性は十分にあります。
専門家のサポートも活用しながら、必要な書類や証拠をしっかり整えて、適切な申請を行いましょう。支援は、あなたの生活の安心のためにあるのです。