「障害年金が通らなかった…」発達障害で不支給になった理由と対策とは?
発達障害で障害年金を申請したけれど「不支給」になった…その通知を受け取った瞬間、頭が真っ白になった方も多いのではないでしょうか。
発達障害で障害年金が落ちた…よくある悩みとその背景
「診断書にちゃんと書いてもらったのに落ちた…」
「日常生活はすごく大変なのに、どうして認められなかったの?」
「そもそも何を基準に判断されてるのかわからない」
これらは発達障害で障害年金を申請された方が、よく口にする不安や疑問です。
なぜこうしたことが起こるのでしょうか。背景には以下のような要因があります。
- 発達障害特有の「目に見えにくい困難さ」が評価されづらい
- 診断書の記載内容と実際の生活状況にギャップがある
- 主治医が年金制度の基準を理解していないケースもある
本記事では、発達障害で障害年金が「落ちた理由」として考えられる要因を詳しく解説しながら、見直すべき4つの重要ポイントや、再申請に向けた考え方もご紹介します。
障害年金が不支給になる背景とは?知っておくべき基準と判断の仕組み
■ 制度の歴史と発達障害の位置づけ
日本の障害年金制度は、長らく身体障害や精神疾患を想定して設計されてきました。発達障害は比較的新しいカテゴリで、制度が柔軟に対応しきれていない面があります。「見えにくい障害」であることが、審査上のネックになることも。
■ 判断基準の“ズレ”とは
年金審査では「日常生活能力の程度」が問われます。しかし、発達障害の方は「できること」と「できないこと」にムラがあるため、総合的な困難さが正しく伝わらないことがあります。
■ Aさんのケース:なぜ落ちたのか?
30代男性AさんはASDとADHDの診断を受け、会社を辞めて以降引きこもり状態。しかし、医師の診断書には「軽度」と記載され、不支給に。Aさんは主治医に自身の生活困難を十分伝えきれていなかったのです。
■ よくある誤解:診断名があれば通る?
いいえ、障害年金は「病名」ではなく「生活への支障の程度」で判断されます。たとえ発達障害と診断されていても、生活能力に問題がないと見なされれば不支給となります。
■ 他社との比較:社労士の有無での差
支給率において、社労士の関与があるかどうかで大きな違いがあるのは事実です。厚労省データによると、社労士に依頼した場合の方が認定率が1.5〜2倍高くなることもあります。
■ 知られざる盲点:初診日の扱い
制度上、初診日が不明確だとそもそも審査対象にならないこともあります。「一番最初に医師に相談した日」がいつか、それを証明できる書類があるかの確認が必須です。
発達障害で障害年金が落ちたときに確認したい4つのこと
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1. 初診日が正しく特定・証明されているか
なぜ確認が必要か:障害年金制度では「初診日」がもっとも重要な基準点となるためです。
どう確認するか:申請書に記載した初診日が、実際にその医療機関で受診した日と一致しているか、受診状況等証明書で裏付けがあるかを確認します。
確認して得られる効果:初診日が認められないと、申請そのものが無効になる場合もあるため、ここが明確であることで審査通過の土台が整います。 -
2. 診断書の内容が日常生活の困難さを反映しているか
なぜ確認が必要か:発達障害は外見では分かりづらいため、診断書の記述が生活の実態を反映していないと、「軽い」と誤解されるリスクがあります。
どう確認するか:「食事」「身辺処理」「対人関係」「社会性」など各項目が、実際の困難さに沿って記載されているか、具体性があるかをチェックします。
確認して得られる効果:審査官に実情が伝わりやすくなり、不支給から支給への再評価の可能性が高まります。 -
3. 年金の納付要件を満たしているか
なぜ確認が必要か:納付要件を満たしていないと、どれだけ症状が重くても障害年金の支給対象外となってしまうためです。
どう確認するか:初診日の前日時点で、直近1年間に未納がないか、もしくは全体の3分の2以上の期間で保険料を納めていたかを確認します。年金記録は「ねんきんネット」や年金事務所で確認可能です。
確認して得られる効果:要件を満たしていれば、正式な申請資格があることが証明され、審査が通る前提をクリアできます。万が一満たしていなければ、免除期間の扱いや救済制度の検討が必要になります。 -
4. 認定日請求・遡及請求の要件を満たしていたか
なぜ確認が必要か:障害状態が過去にあったにもかかわらず、要件を満たしていなければ本来受け取れる期間を逃すことになります。
どう確認するか:初診日から1年半経過時点での障害状態が記録されているか(診断書またはカルテ)、その時期に継続的な通院があったかを確認します。
確認して得られる効果:遡っての支給(最大5年分)も視野に入るため、申請結果に大きな違いが生まれます。
よくある質問と不安への答え
Q. 診断書が「軽い」と言われたけど、自分のせい?
A. そうとは限りません。医師が年金制度に不慣れだったり、あなたの日常の困難が十分伝わっていなかった可能性があります。「診断名」よりも「生活上の困難さ」がカギです。
Q. 不支給でも再申請したら通る可能性はある?
A. はい、あります。特に診断書や資料の見直しを行ったうえで再申請すれば、十分に認定されるケースは多くあります。不服申し立ても視野に入れましょう。
Q. 最初の申請で落ちた=もう無理、ではない?
A. 決してそんなことはありません。一度目で落ちた方の中にも、再申請や審査請求で認められる方は多数います。むしろ「どこを改善すべきか」が明確になった分、チャンスが広がります。
まとめ:諦める前にできることはたくさんある
発達障害で障害年金が不支給になる背景には、制度の仕組みや書類の記載ミス・認識違いが存在します。
しかし、ポイントを正しく理解し、診断書や申請内容を見直すことで、再申請の成功率は大きく上がります。
今回ご紹介した「4つの確認ポイント」を一つずつ見直し、必要であれば専門家の力を借りて、次の申請に向けて準備を整えましょう。
未来を変える第一歩は、「気づき」と「行動」です。決して一人で抱え込まず、正しい情報とサポートを得て、前向きに進んでください。