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従業員の給与は簡単には下げられない?~前編~

2022.07.26 社労士コラム

「経営難で人件費を下げたい・・・」「勤務成績がよくない従業員の給与を下げたい・・・」

こんな相談をいただくことがあります。

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そんな会社経営者の方に 向けて、

大阪市中央区難波(御堂筋線なんば駅徒歩1分)で社労士事務所を構える
社会保険労務士法人渡辺事務所スタッフの視点から、3つのポイントを押さえながらお伝えしたいことがあります。

ポイント1:従業員の同意を得られるか

従業員の給与を下げるということの一番の懸念点は、その従業員とトラブルに発展してしまうことです。

極論ですが、従業員が納得していて円満に給与を下げられるのであれば、何も心配することはありません。

ただ、ほとんどの従業員が労働している一番の目的は、経済的に豊かになるため、自分や家族の生活のためのはずです。

今までと同じ働きをしても手元に入るお金が減ると言われて、「はい分かりました」と答える人はそういないでしょう。

会社側の一方的な決定による給与の減額は、労働条件の不利益変更として
労働保契約法で認められていません。

ですので、次の2つめ、3つめのポイントを押さえながら、最終的に従業員ご本人に納得してもらえるような客観的で合理的な根拠をおさえておくことがトラブルを防ぐ上で必要になってきます。

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間違っても脅したり、表面上だけの同意を取ろうとするのは絶対にしてはいけません。

そんなことをしても不当に給与を下げただけになり、後々の訴訟や労基署への駆け込みの火種を残すだけです。特にお金が起因となるトラブルは訴訟リスクが高くなりますので、慎重に対処することが必須となります。

ポイント2:客観的に合理的な根拠があるか

以下のケースは、合理的な理由に基づく減給に該当します。

  • -1- 本人の勤務態度や言動等に著しく問題があり必要な減給処分

  • -2- 人事評価での降格に基づいた減給

  • -3- 就業規則の給与規定改定に伴った減給

要らぬトラブルを避けるためには従業員の同意まで取っておくことをお勧めしますが、これら3つの事例に関しては、 結果的に従業員の個別の同意を得られずとも、 法律上の効力があります。

合理的な理由と認められるためにはそれぞれクリアすべき条件がありますので、詳しく見ていきましょう。

-1- 本人の勤務態度や言動等に著しく問題があり必要な減給処分

以下の要件をすべて満たしていれば、懲戒処分として正当といえます。

  • ✔ 就業規則で懲戒処分についての定めがある

  • ✔ 就業規則が従業員に周知されて有効な状態である

  • ✔ 厳重注意や譴責や等の減給より軽微な懲戒ステップを既に終えているが問題行動が改善されない

      もしくは 減給処分に相当程度の問題を生じている

減給処分に相当程度の問題とは、例えば、度重なり会社の所有物を破損させるなどして相当程度の損害が会社に出ている状態が挙げられますが、正当な処分と認められるかどうかは一概には言えませんので、社労士や弁護士などの専門家に一度相談されることをお勧めします。

-2- 人事評価での降格に基づいた減給

  • ✔ あらかじめ定められた人事評価制度に基づいて決定されている

著しく合理性に欠けていたり、社会通念上認められていなかったりしない限り、
基本的に従業員の能力不足に伴う降格を行うかどうかの判断は企業側に委ねられていると解されています。

-3- 就業規則の給与規定改定に伴った減給

  • ✔ 労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数代表者の同意

減給となってしまうような内容に 就業規則を変更することは「不利益変更」にあたるため、会社側が一方的に変更することは認められていません。

正当な変更と認められるために、上記のとおり 必ず 同意を取っておきましょう。

その代わり、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数代表者の同意を得られれば、その就業規則が適用される全従業員(減給に反対している従業員含む)に減給は有効なものとみなされます。

後編に続きます

ここまでお読みいただきありがとうございました。

経営不振の場合の給与カットの要件は後編でお伝えします。

また、今回入りきらなかった3つめのポイントでは、 給与カットは法律で限度額が決められている点について解説していきたいと思います。

「限度額があるなんて知らなかった!」「限度額以上に減額する方法は何かないの?」という方は、後編も必見です!

社員の給与は簡単には下げられない?~後編~ はこちら

上のリンクから後編にとんでいただけます。

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