営業手当と残業代の考え方

2016年5月24日

よく営業には営業手当が支給されているので時間外勤務手当が支給されないとされてますが、もしそうならば営業手当が時間外手当に相当する額でないと理屈が通りません。会社は原則的には、残業があれば外勤・内勤を問わず、労働基準法の労働者であれば時間外手当を支払う必要があります。ここでは営業手当の考え方についてご説明します。

営業手当には2種類ある

営業手当を支給している会社の場合、営業手当が「基準内賃金」か「基準外賃金」かが問題にとなります。

基準内賃金=時間外勤務手当の算定の対象となる賃金
基準外賃金=時間外勤務手当の算定の対象とならない賃金(通勤手当、時間外手当、休日手当など)

基準内賃金
一つは営業外勤とういう職務の労苦・負担に対して支給する営業手当です。理屈としては、営業はスーツ代はいるだろうし、靴も早く磨り減るだろうし、喫茶店でお茶を飲むこともあるだろう、という営業という職務に対する職務手当的要素の手当です。この手当を「営業職務手当」と呼ぶことにします。営業職務手当は時間外手当の算定基礎から除外する手当ではないので、別途時間外手当が必要となってしまいます。

基準外賃金
もう一つは、営業外勤に対する時間外勤務手当として支給するものです。これを「営業時間外手当」と呼ぶことにします。基準内賃金が20万円であれば、30時間分の時間外手当相当(所定内労働時間が170時間とする)は約44,200円です。これを「営業時間外手当」とし支給します。営業手当を支給することで時間外勤務手当を支給しないのであれば、営業手当は「営業職務手当」ではなく、「営業時間外手当」として支給するということを明確にしなければなりません。

会社が、外勤者に交際費や靴、スーツ等の必要経費がかかるからという事で支給しているのであれば「基準内賃金」となり、残業があった場合、営業手当も計算に含め、時間外手当を支払わなければなりません。また外勤者に対する時間外手当として営業手当を支払っているのであればこれは「基準外賃金」です。営業手当が「基準内賃金」か「基準外賃金」か、はっきりさせる必要があるのです。

営業手当が時間外手当相当分として認めてもらうためには以下の条件が必要です。

1、賃金規定に「時間外手当相当額として○○手当を支給する」と明記する。
2、営業手当が時間外手当相当額である計算根拠を雇用契約等にて明記する。
3、賃金明細にも「営業時間外手当」とか「営業手当(固定残業)と表示する。本人はもちろんのこと、家族等が見てもわかるように表示しておくとよい。

【モデル条文】

(営業手当)
第○条
営業手当は時間外手当相当分として支給することとします。その計算根拠は雇用契約書にて定めます。賃金明細には「営業手当(固定残業)と表示します。実際の時間外勤務労働がその金額を超えた場合は、別途不足分の時間外手当を支給することとします。

≪雇用契約書の記載例≫
第○条
基本給   200,000円
皆勤手当   10,000円
家族手当   10,000円
営業手当   44,200円
合計    264,400円
※営業手当は月間30時間分の時間外手当相当分として支給します。

総額から固定残業手当を算出する方法

経営者側の要望というのは「とにかくこの人には残業代込みで30万円払う、その代わりこういう成果を上げて欲しい」というものです。そこで総額から時間外手当(固定残業手当)を割り出す方法を紹介します。月間所定労働時間が173時閻(週40時間労働のこと) の会社で、月間30時間の残業をしている従業員。賃金総額が30万円のケースです。

月間173時間+(月間30時間の残業時間×1.25 = 37.5)=210.5時間
賃金総額300,000÷210.5時間=時間単価1,426円
時間単価1,426円×1.25×30時間=営業手当53,475円
賃金総額300,000円-固定残業手当53,475円=基本給246,525円

注意点としては、基本給を昇給すれば固定残業手当も再計算しなければならないことと、月間30時間を超えて残業をした場合は追加の時間外手当が発生することなどがあります。

残業代でのトラブルを防ぐためにも

多くの会社で支給されている営業手当ですが、「所定内賃金」か「所定外賃金」か明確に規定していない会社が多いのが現状です。それを明確にする必要があります。また賃金の高い人も低い人も営業手当が一律に定められている会社も多くありますが、営業手当が時間外労働手当であるとすれば、その額も一律ではなく、個人の基本給によって営業手当の額も変わるべきものです。営業手当が一律では、いったい何時間に相当する時間外労働手当なのかも不明確になってしまいます。残業代でのトラブルは労務トラブルでも多いトラブルです。トラブルが起こってしまう前に、就業規則の見直しを。わからないことがありましたら、ぜひお気軽にご相談下さい。あなたの会社の力になる自信があります。

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