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入社時に必ずしておきたい雇用契約書の締結について

2016.08.10 トピックス

口頭だけでの労務トラブル

人間関係において「言った」「いや、言ってない」論争はつきものです。証拠がそれぞれの記憶上にしかない以上、どちらが本当だったのか、真実はわかるものではありません。同じようなことが会社ても起きていることがあります。それも最初の一番大事な雇用契約の締結の時です。

「労働条件は求人広告にあった通りだからね」とだけ伝えて[はい、今日から社員ね」なんてやっている会社がまだまだ存在します。そして後になってから社員に「そんな労働条件は聞いていません」といった労務トラブルに発展するのです。

「求人広告の内容=個人の労働条件」ではないので、当然にそういったことは起こり得ます。また、労働基準法では書面で通知しなければならない事項も定められていますので、口頭で契約なんて有り得ないのです。何事も初めが肝心です。書面でしっかり契約し、会社も社員も互いに納得して雇用のスタートを切りましょう。

労働条件通知書と雇用契約書はどっちがいい?

社員の採用に際しては労働条件を書面で交付することが労働基準法第15条で義務付けられています。その際、労働条件通知書がいいのか、雇用契約書がいいのか迷うところですよね。法律では労働条件通知書を交付するだけでもよいのですが、契約内容の行き違いでトラブルになるケースが増えてきています。このようなトラブルを防ぐためには、労使ともに署名する雇用契約書を選択するほうが良いでしょう。

求人時に提示した労働条件と違う場合は?

求人広告の記載事項が当然に雇用契約の内容となるわけではありません。本人と会社との間で結ばれた個別の雇用契約が労働条件となります。例えば、求人広告には「月給25万円」と記載していても、会社と本人の話し合いにより「月給23万円」と決定した場合は、その金額が労働条件となります。

あくまで求人広告は応募者に対する「申込みの誘引」となります。求人広告を見た本人が応募して初めて「契約の申込み」となり、会社が選考し採用を決定した段階で「申込みの承諾」となり、申込みと承諾があって初めて雇用契約の締結となります。求人はあくまで目安であり、実際の労働条件と完全に一致する必要はありません。同様に面接時に提示したものと異なっていても、雇用契約締結時のものが、労働条件となります。

雇用契約書を締結し忘れたら?

労務トラブルの予防策としても雇用契約書は有効なので必す入社時に締結しましょう。しかし、総務・人事部も人間です。忘れることもあります。こ安心ください。こういったケースは取り返しがつくものです。

例えば入社日が4月1日で締結忘れに気づいた時が7月31日の場合。雇用契約書日付欄に、気づいた時の日付、つまり7月31曰と記入して締結し、『この雇用契約書の効力発生日は平成○○年4月1日とし、相互に確認いたします』とのー文を追記します。この一文のおかげで、実際の入社から締結前までの期間の契約をフォローすることができます。後からできるからといって、決して虚偽の記述は行わないようにしましょう。

書面で通知しなければならない事項

会社にとって都合の良いことだけを記載して、都合の悪いことは記載しないなんてことはできません。労働基準法第15条では以下の事項①~⑤は書面交付による明示が下記のように義務付けられています。ただし、④賃金のうち「昇給」に関百る事項は除きます。

こちらの記事にも雇用契約書の明示内容が詳しく書いてあります。
→雇用契約書の必要性

必す記載しなければならない事項
①雇用契約の期間
②就業の場所、従事すべき業務※1
③始業及び就業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間· 休日・休暇、就業時転換
④賃金(退職金、賞与等を除く) の決定· 計算・支払いの方法、賃金の締切・支払の時期、昇給に関する事項
⑤退職に関する事項(解雇の事由を含む※2)

※1)従事すべき業務は、具体的かつ詳細に明示すべきですが、将来従事させようという業務を併せて網羅的に明示することは差し支えありません。
※2)退職に関する事項は、退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければなりません。しかし、明示すべき事項の内容か膨大なものとなる場合には、社員の利便性をも考慮し、社員に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足ります。また、退職には、退職手当に関する事項は含みません。

明示条件が事実と相違する場合

明示された労働条件が事実と相違する場合には、労働者は、即時に雇用契約を解除することができます。この場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内帰郷する場合には、使用者は、必要な旅費を負担しなければなりません。必要な旅費には、家族の旅費も含みます。ここでいう家族の範囲は、労働者により生計を維持さている同居の親族(内縁を含む)をいいます。

口頭での雇用契約はトラブルの元です

労務トラブルの予防策としても雇用契約書は有効なのです。必す入社時に締結することが重要です。その中で、核となる賃金面や労働時間については、社員が理解できるまで説明、納得してもらいましょう。雇用契約を締結することで、社員も安心して働ける職場づくりにもつながっていくのです。きちんとした労務管理は会社と社員にとって、より良い職場環境をつくる上でもとても重要なものになります。

労務管理のことなら、社会保険労務士法人渡辺事務所におまかせください。どんなことでもお気軽にご相談ください。

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