【社労士監修】病歴・就労状況等申立書の書き方完全ガイド|うつ病・精神疾患編
はじめに:障害年金の審査を左右する重要書類
障害年金の申請を考えたとき、多くの方が診断書の準備に集中しがちです。しかし、実はもう一つ、審査の結果を大きく左右する重要な書類があります。それが「病歴・就労状況等申立書」です。この記事では、障害年金申請の重要書類である【病歴・就労状況等申立書の書き方完全ガイド|うつ病・精神疾患編】として、特にうつ病などの精神疾患を抱える方が、ご自身の状態を審査員に正しく伝え、適切な受給に繋げるためのポイントを解説します。特に、多くの方が陥りがちな「よくある間違い」に焦点を当て、失敗を防ぐための具体的なアドバイスを提供します。この記事を最後まで読めば、申立書作成への不安が軽減され、自信を持って申請準備を進められるようになるでしょう。
【失敗例から学ぶ】うつ病・精神疾患でよくある申立書の間違い5選
良かれと思って書いた内容が、かえってご自身の状態を正しく伝えられず、不支給の原因になってしまうケースは少なくありません。ここでは、私たちが多くのご相談を受ける中で見てきた、典型的な失敗例とその対策を解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
間違い1:診断書と矛盾した内容を書いてしまう
最も避けなければならないのが、医師が作成した診断書の内容と、ご自身で作成する申立書の内容に食い違いが生じることです。例えば、診断書には「週に1〜2回は外出可能」と書かれているのに、申立書で「全く外出できません」と書いてしまうと、審査員はどちらを信じてよいか分からず、申立書の信憑性が低いと判断する可能性があります。対策として、申立書を書き終えたら、必ず診断書のコピーと照らし合わせ、矛盾がないかを確認しましょう。もし表現に迷う部分があれば、なぜそのように表現したのかを補足説明として加えることが有効です。
間違い2:抽象的な表現に終始してしまう
「一日中気分が落ち込んでつらいです」「何もやる気が起きません」といった表現は、ご本人の苦しみを表す言葉ですが、これだけでは日常生活にどれほどの支障が出ているのか客観的に伝わりません。審査員は、具体的な事実に基づいて障害の程度を判断します。対策として、「つらい」と感じる原因となった具体的なエピソードを書きましょう。例えば、「調理をする気力がなく、3日間食事が菓子パンだけになった」「入浴するまでに2時間かかり、週に1度しか入れない」といった具体的な記述が、症状の重さをリアルに伝えます。[画像挿入提案: ここに「抽象的な表現」と「具体的な表現」の比較表を挿入。推奨ALTテキスト:「病歴・就労状況等申立書における具体的表現の重要性」]
間違い3:症状の波を考慮せず「調子が良い時」を基準に書く
うつ病などの精神疾患には、症状の波があるのが通常です。しかし、申立書を書く際に、たまたま調子が少し良い日のことを基準に「〇〇はできます」と書いてしまう方がいます。これは非常に危険です。障害年金の審査は、あくまで日常生活や就労にどれだけの制約があるかを評価します。対策として、最も症状が重かった時期や、平均的に調子が悪い状態を基準に記述することを意識してください。「調子の良い日は30分ほど散歩できるが、週の半分以上はベッドから出られない」のように、波があること自体を正直に伝えるのがポイントです。
間違い4:書くことが思いつかず空欄のまま提出する
申立書には多くの項目がありますが、「特に書くことがない」と感じて空欄のまま提出してしまうのは避けるべきです。審査の現場では、空欄は「特に問題がない」「該当しない」と解釈される恐れがあります。何も書かれていなければ、審査員はそこに困難がないものとして評価を進めてしまいます。対策として、たとえ些細なことでも、ご自身の状況に関わることは必ず記入しましょう。もし本当に該当しない項目であれば、「特になし」と明確に記載することが重要です。何も書かないことのリスクを理解してください。
間違い5:就労状況を過大(または過小)に申告する
「働けているから、症状は軽い」と判断されることを恐れ、就労の事実を曖昧にしたり、逆に生活のために無理して働いている状況を軽く書いてしまったりするケースがあります。いずれも適切な評価を妨げます。対策として、事実をありのままに、しかし「どのような配慮や困難の上で成り立っているか」を具体的に書きましょう。例えば、「遅刻や早退、欠勤について上司の特別な配慮がある」「他の人の半分の仕事量しかこなせない」「休憩を頻繁に取らないと業務が続けられない」など、職場で受けているサポートや、就労上の困難を具体的に示すことが、正当な評価に繋がります。[内部リンク: 障害年金と就労の両立について]
【項目別】病歴・就労状況等申立書の書き方と具体的な記入例
ここでは、実際の申立書の項目に沿って、うつ病・精神疾患の場合にどのような点を意識して書けばよいのか、具体的なポイントを解説します。
1. 発病から現在までの経過
この欄は、あなたの病気の歴史を伝える最も重要な部分です。単に病院名と期間を羅列するのではなく、一つのストーリーとして読めるように意識しましょう。
- 発病時期:最初に「何かおかしい」と感じた時期を思い出せる限り具体的に書きます。「眠れない日が続いた」「仕事でミスが増えた」など、最初の自覚症状を記載します。
- 受診歴:医療機関名、受診期間、治療内容(投薬、カウンセリング等)を時系列で整理します。転院している場合は、その理由も簡潔に書き添えると良いでしょう。
- 症状の変化:病状が良くなった時期、悪化した時期の出来事(例:休職、退職、家族との関係の変化など)を具体的に関連付けて記述することで、病状の変遷が分かりやすくなります。
2. 日常生活状況
診断書にも同様の項目がありますが、申立書ではご自身の言葉で、より具体的に日常生活の困難さを伝えることができます。以下の7つの項目について、「できる」「まあできる」「助けがあればできる」「できない」の選択肢だけでなく、具体的な状況を補足説明することが重要です。
- 食事:調理が困難で、惣菜や出前に頼っている。一日一食しか食べられない日がある、など。
- 身辺の清潔保持:入浴が億劫で週に1〜2回が限度。着替えも数日間同じ服を着てしまう、など。
- 金銭管理・買い物:金銭管理ができず支払いが滞ることがある。一人で買い物に行けず、家族に頼んでいる、など。
- 通院と服薬:一人で通院できず家族の付き添いが必要。薬の飲み忘れが多い、など。
- 他人との意思伝達・対人関係:家族以外と話すのが苦痛。電話に出られない、など。
- 身のまわりの安全保持・危機対応:危険を判断できず、火の不始末や戸締りを忘れることがある、など。
- 社会性:社会的な手続きや公共交通機関の利用が一人では困難、など。
これらの項目について、ご自身の状態を客観的に、そして具体的に記述することが、審査員にご自身の状態を正確に理解してもらうための鍵となります。[外部リンク: 日本年金機構「病歴・就労状況等申立書の様式」]
まとめ:一人で悩まず専門家への相談が受給への近道です
ここまで、【病歴・就労状況等申立書の書き方完全ガイド|うつ病・精神疾患編】として、特に注意すべき間違いや具体的な記入のポイントを解説してきました。この記事でご紹介した内容は、適切な障害年金の受給に向けた重要なステップです。
要点をまとめると以下の通りです。
- 申立書は診断書を補完し、あなた自身の言葉で日常生活の困難さを伝える唯一の書類である。
- 診断書との矛盾、抽象的な表現、空欄での提出などは不支給に繋がる典型的な失敗例。
- 具体的なエピソードを交え、最も症状が重い状態を基準に、ありのままを記述することが重要。
しかし、ご自身の辛い経験を客観的に整理し、文章にすることは精神的にも大きな負担となります。また、どのエピソードが審査で重要視されるかを個人で判断するのは非常に困難です。「これで本当に伝わるだろうか」と一人で悩み続けるよりも、障害年金の専門家である社会保険労務士に相談することが、最も確実な近道と言えます。私たち全国対応のHR BrEdge(エイチアールブレッジ)社会保険労務士法人は、LINEやZoomでのオンライン無料相談も実施しております。あなたの状況を丁寧にヒアリングし、受給の可能性を高めるための最適なサポートを提供します。まずは一度、お気軽にご相談ください。[内部リンク: 障害年金無料相談のお申込みはこちら]
【社労士監修】病歴・就労状況等申立書の書き方完全ガイド|うつ病・精神疾患編




