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登録支援機関の質が悪い?見極め方と切り替えの判断基準を社労士が徹底解説!失敗しない3つの逆質問
特定技能外国人の受入れにおいて、企業のパートナーとなるべき「登録支援機関」。しかし、残念ながら「連絡がつかない」「支援実態がない」「トラブル対応が遅い」といった相談が、私のもとにも数多く寄せられています。登録支援機関の質は、外国人材の定着率だけでなく、受入れ企業のコンプライアンスリスクにも直結する重大な問題です。
本記事では、外国人雇用専門の社労士として多くの現場を見てきた経験から、質の悪い登録支援機関を見極めるポイントと、リスクを最小限に抑える切り替えの判断基準を解説します。表面的な委託費の安さや営業トークに惑わされず、自社にとって本当に有益なパートナーを選ぶための「逆質問」も公開しますので、ぜひ参考にしてください。
なぜ「質の悪い」登録支援機関が後を絶たないのか?業界の構造的欠陥と企業が陥る罠
【結論】参入障壁の低さが質のばらつきを生んでおり、構造的な課題として認識すべきです。
登録支援機関になるための要件は、許可制ではなく「登録制」であり、一定の要件を満たせば比較的容易に参入できる仕組みになっています。そのため、外国人材紹介会社が「紹介後のストック収入」を目当てに登録支援機関を兼業するケースや、異業種からの参入が相次ぎました。一方で、支援業務には労働法令、入管法、社会保険、そして多文化共生への深い理解が必要不可欠です。
人材紹介を主業とする機関の場合、紹介手数料を得ることがゴールとなり、その後の支援がおろそかになるケースが見受けられます。一方で、労務管理の専門家や地域に根差した支援団体が運営する機関であれば、定着支援に重きを置く傾向があります。企業側は「登録されているから安心」と盲信するのではなく、その機関がどのような背景で設立され、どこに強みを持っているのかという「出自」を確認する必要があります。
委託費の安さだけで選ぶと危険?社労士が警告する「支援放棄」の典型的な兆候
【結論】相場を大きく下回る委託費は、必要な支援コストが削られている可能性が高いです。
登録支援機関への委託費の相場は、外国人1名あたり月額2万円〜3万円程度が一般的です。しかし、中には「月額1万円以下」などの格安料金を提示する業者も存在します。企業としてはコストを抑えたいところですが、安さには必ず理由があります。例えば、通訳担当者が常駐していない、定期面談をオンラインのみで済ませている、あるいは法定の支援業務すらまともに行っていない可能性があります。
実際に、コスト重視で選んだ結果、緊急時の対応が別料金であったり、書類作成だけで現場のサポートは一切なしという「支援放棄」に近い状態に陥る企業も少なくありません。自社内に通訳スタッフがおり、支援業務の大半を内製化できる場合は安価なプランでも問題ありませんが、全面的に委託したい場合は、適正なコストを支払って質の高い支援を求める方が、長期的にはリスクヘッジになります。
優秀な支援機関を見抜く「3つの逆質問」—面談時に担当者の本質を炙り出す方法
【結論】担当者の「即答能力」と「具体的実績」を確認するための質問を投げかけるべきです。
契約前の面談で、営業担当者の説明をただ聞くだけでは実態は見えません。以下の3つの逆質問を行い、その回答内容で質を見極めてください。
- 質問1:「御社がこれまでに経験した最大のトラブル事例と、その解決プロセスを教えてください」
「トラブルはありません」と答える業者は、経験が浅いか、問題を隠蔽している可能性があります。具体的な事例と、どう動いて解決したかというプロセスを語れる業者は信頼できます。 - 質問2:「支援担当者1人あたり、何名の特定技能外国人を担当していますか?」
担当者1人で100名以上など、キャパシティを超えた人数を抱えている場合、きめ細かな対応は不可能です。適正な人数(30〜50名程度など)で管理されているかを確認しましょう。 - 質問3:「夜間や休日の緊急対応体制は具体的にどうなっていますか?」
「対応します」だけでなく、「誰が」「どの電話番号で」「通訳はどう手配するか」まで具体的に決まっているかを確認します。
これらの質問に対し、曖昧な回答しかできない場合は、契約を見送るのが賢明です。
実際の顧問先で起きた「名ばかり支援」の末路—入管からの是正勧告を招くNG対応
【結論】形式的な支援報告は入管の調査で必ず露呈し、企業の受入れ停止リスクを招きます。
私が関与した実際の顧問先での事例です。ある企業は、以前契約していた登録支援機関に全てを任せきりにしていました。しかし、入管の実地調査が入った際、義務付けられている「3ヶ月に1回の定期面談」が実際には行われておらず、提出されていた報告書が架空の内容(過去のコピー)であったことが発覚しました。結果として、登録支援機関だけでなく、監督責任を怠ったとして受入れ企業側も指導の対象となりました。
登録支援機関に委託したとしても、支援責任の主体はあくまで「受入れ企業」にあります。支援機関がサボれば、企業の在留資格申請や今後の受入れに重大な影響が出ます。定期的に支援実施状況の報告を求め、時には担当者と一緒に面談に同席するなど、企業側も「任せっぱなしにしない」姿勢が不可欠です。
支援内容の「中身」を徹底比較!義務的支援と任意支援の境界線で質が決まる
【結論】法定の義務的支援を確実に遂行できるかが最低ラインであり、プラスアルファの提案力が質の差です。
特定技能制度では、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保の支援、生活オリエンテーション、公的続きへの同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、定期面談など、10項目の義務的支援が定められています。これらは「やって当たり前」の最低ラインです。質の高い登録支援機関は、これらに加えて「任意支援」に力を入れています。
- 地域交流の促進:地域のお祭りやイベントへの参加を促し、孤立を防ぐ。
- キャリア支援:特定技能2号への移行を見据えた資格取得のサポート。
- メンタルヘルスケア:母国語でのカウンセリング体制の整備。
契約書や仕様書を確認する際は、義務的支援が網羅されていることはもちろん、自社の外国人が日本で生活する上でどのような付加価値を提供してくれるか、という視点で比較検討することが重要です。
トラブル発生時のレスポンスで判明する、支援機関の「危機管理能力」の差
【結論】トラブル発生時の初動スピードと報告の正確さで、機関の真価が問われます。
外国人の生活において、病気、怪我、交通事故、あるいは金銭トラブルや失踪など、予期せぬ事態は必ず起こります。こうした緊急時に、登録支援機関がどれだけのスピード感を持って動けるかが重要です。質の悪い機関は「担当者が不在で連絡がつかない」「土日は対応不可」といった対応になりがちで、その間に事態が悪化することもあります。
一方で、優秀な機関は緊急連絡網が整備されており、深夜や休日であっても一次対応を行い、企業担当者へ速やかに状況を報告します。また、警察や病院、役所との連携にも慣れており、通訳を伴って現場に急行するフットワークの軽さがあります。契約前に、緊急時の連絡フロー図を提示してもらうのも有効な確認手段です。
登録支援機関を切り替える際の法的リスクと、円満な「契約解除」の進め方
【結論】契約内容を確認し、支援の空白期間を作らないよう計画的に進める必要があります。
現在の登録支援機関に不満があり、切り替えを検討する場合、まずは締結している「支援委託契約書」を確認してください。解約予告期間(例えば3ヶ月前予告など)や、中途解約時の違約金の有無が記載されているはずです。法的には、正当な理由(債務不履行など)があれば即時解除も可能ですが、実務上は揉め事を避けるため、契約条項に則って手続きを進めるのが無難です。
また、最も注意すべきは「支援の空白期間」を作らないことです。新しい支援機関との契約開始日と、旧機関の解約日を調整し、入管への届出(支援委託契約の終了と新たな締結)を遅滞なく行う必要があります。さらに、これまでの支援実施記録や本人に関するデータの引き継ぎを拒否されるトラブルも散見されます。円満に解除するためには、新しい支援機関や社労士に間に入ってもらい、事務的な引き継ぎを主導してもらうことをお勧めします。
制度と現場のズレを埋めるのは誰か?特定技能の定着率を左右する「伴走型支援」の正体
【結論】現場の声を吸い上げ、企業と外国人の橋渡し役となれるのが真の「伴走型支援」です。
制度上は「支援」の項目を満たしていれば要件クリアとなりますが、現場では「言葉のニュアンスが伝わらず誤解が生じた」「文化の違いから職場で孤立している」といった、制度の枠に収まらない課題が頻発します。これらを放置すると、早期離職に繋がります。
質の高い登録支援機関は、単なる事務代行ではなく、企業と外国人の間に入って通訳・翻訳を行うだけでなく、双方の考えや文化的な背景を解説し、相互理解を促す「調整役」を果たします。定期面談の場だけでなく、日常的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築いている担当者がいる場合、外国人の定着率は格段に上がります。このような「伴走型支援」を提供できるかどうかが、長期的な雇用成功の鍵を握っています。
失敗しないための最終チェックリスト—自社に最適なパートナーを選ぶための10項目
【結論】多角的な視点で自社との相性を見極め、総合的に判断することが重要です。
最後に、登録支援機関を選定・評価するためのチェックリストをまとめました。全ての項目を満たすのが理想ですが、自社が重視するポイント(コスト、スピード、専門性など)と照らし合わせて判断してください。
- □ 支援責任者・担当者が特定技能制度を正しく理解しているか
- □ 担当者1人あたりの支援人数が適正か(過重負担でないか)
- □ 母国語対応できるスタッフが常駐しているか
- □ 緊急時(夜間・休日)の連絡体制が明確か
- □ 定期面談は対面で行う方針か(オンラインのみでないか)
- □ 支援実施記録簿などの書類作成・管理がずさんでないか
- □ 過去に失踪者や入管からの処分歴がないか
- □ 委託費の内訳が明確で、追加請求の基準がはっきりしているか
- □ 義務的支援以外のプラスアルファ(任意支援)の提案があるか
- □ 企業側の要望や相談に対して、レスポンスが早いか
登録支援機関は、一度契約したら変えられないものではありません。自社の状況や外国人の人数、現場の課題に合わせて、最適なパートナーを常に見直していく姿勢が、外国人雇用の成功には不可欠です。
まとめ
登録支援機関の質は、特定技能外国人の定着率や企業のコンプライアンスに直結します。安易な業者選びは、支援不履行や法的トラブルのリスクを高めるだけです。本記事で解説した「逆質問」や「チェックリスト」を活用し、自社にとって真に信頼できるパートナーを見極めてください。また、現在契約中の機関に不安がある場合は、セカンドオピニオンとして社労士等の専門家に相談することをお勧めします。企業の状況によって最適な判断は異なりますので、まずは現状のリスクを把握することから始めましょう。
特定技能・外国人雇用に関する詳しい情報はこちらのブログ一覧もご参照ください。
監修者プロフィール
本記事は、HR BrEdge社会保険労務士法人に所属する特定社会保険労務士・渡辺俊一が監修しています。法人顧問業務を中心に、給与計算、労務相談、就業規則整備など、企業のバックオフィス全体を支える実務に携わってきました。
日常的な労務相談から、制度設計、実務運用、トラブル予防まで、「現場で実際に起こること」を前提とした支援を行っています。特に、従業員100名以上規模の企業における実務の属人化や判断が分かれやすい場面への対応を得意としています。
- 社会保険労務士(登録番号:第27070207号・平成19年11月1日登録・平成24年5月1日特定社会保険労務士付記)
- キャリアコンサルタント(登録番号:16131446・平成28年8月23日登録)
- HR BrEdge社会保険労務士法人 代表社員
- 法人顧問を中心とした労務管理・給与計算の実務支援
- 就業規則・社内ルール整備を含む制度運用支援
- 企業向け労務管理に関する書籍・実務資料の執筆・監修
- 経営者・人事担当者向け研修・セミナー講師実績
制度の解説にとどまらず、「このケースではどう判断すべきか」「どこでトラブルになりやすいか」といった実務上の判断ポイントを重視した情報提供を行っています。
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